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サポニンの効能と副作用
2014/10/27
サポニンとはどのような効能によって健康維持に役立つのか科学的に検証してみました。
少し難しい専門用語がでてきますが難しいところは読み飛ばしてわかる部分だけ御覧ください。サポニンというものはどういうものか少しでもご理解いただけると幸いです。
高麗人参の有効成分
高麗人参の主な有効成分は、サポニン(saponin)またはジンセノサイド(ginsenosides=人参サポニン)と呼ばれる複合炭水化物(アルコールまたはフェノールと糖複合体)として知られています。
サポニンとジンセノサイドはサポニン(saponin)とは? と ジンセノサイド(人参サポニン)とは?でも説明してあります。
一般的に、配糖体系は、溶血作用とロテノン(rotenone)作用を引き起こす非常に高い分極化合物を形成します。
サポニンは、血中コレステロールと結合して複合体を形成します。
ただ、ジンセノサイド(人参サポニン)は溶血作用がほとんどありません。
ジンセノサイド(人参サポニン)の他のサポニンとの違いと特徴は以下です。
- ジンセノサイド(人参サポニン)はほとんどトリテルペノイド(triterpenoid)(※注1)系のダンマラン(dammarane)系サポニンとして人参属の植物のみ存在する特有のサポニンです。
- 他の植物から発見されているサポニンは溶血作用がありますが、ジンセノサイド(人参サポニン)は毒性がほとんどない中性配糖体(neutral glycoside)です。
- ジンセノサイド(人参サポニン)の効能は、他の植物のサポニンと著しく異なっている。
- ジンセノサイド(人参サポニン)だけの分子量がある。
ジンセノサイド-Rg1(ginsenoside-Rg1、C42H72O14 2H2O)=837
ジンセノサイド-Rb1(ginsenoside-Rb1、C54H92O23 3H2O)=1163
ジンセノサイド-Rf(ginsenoside-Rf、C42H72O14 2H2O)=837
以上の4点になります。
人参サポニンの配糖体(glycoside)を酸で加水分解すると、
パナキサジオール(panaxadiol)
パナキサトリオール(panaxatriol)
β-シストステロール(β-sistosterol)
オレアノール酸(oleanolic acid)
パナキサジオール(panaxadiol)、パナキサトリオール(panaxatriol)
サポニンの種類
高麗人参学会で発刊した最新の高麗人参の研究第1集(2007年)によると、
現代の分析技術のおかげで66種のジンセノサイド(人参サポニン)が明らかになり、
高麗人参(白参、紅参)、米国参、三七参のジンセノサイドの種類と含有量は、表1-6の通りです。
ジンセノサイド(人参サポニン)の成分の分類
以下の3つに分けられます。
- プロトパナキサジオール(Protopanaxadiol)=(
PPD) - プロトパナキサトリオール(Protopanaxatriol)=(PPT)
- Oleanane系 サポニン
高麗人参, 三七人参, 米国人参の PPD(Protopanaxadiol), PPT(Protopanaxatriol), Oleanane系,ジンセノサイド(人参サポニン)種類
ジンセノサイド | 高麗人参(Panax ginseng) | 三七人参(Panax notoginseng) | 米国人参(Panax quinquefolius) |
---|---|---|---|
PPD系 | 22 | 14 | 13 |
PPT系 | 14 | 15 | 5 |
Oleanane系 | 2 | – | 1 |
合計 | 38 | 29 | 19 |
38種のジンセノサイド(人参サポニン)化学構造が高麗人参(Panax ginseng CA Meyer、紅参31種、百三25種)で発見されており、
米国人参(Panax quinquefolius L.)は、19種のジンセノサイドが、
三七人参(Panax notoginseng Burkill)は、29種のジンセノサイドが発見されました。
(ジンセノサイドの種類は研究結果や時代において変化する場合があります。今回の研究結果では高麗人参 紅参は31種類のジンセノサイドが発見されていますが、通常は32種類の場合が多いです。)
高麗人参の総サポニン化合物の数(38種ジンセノサイド)は、米国人参(19種ジンセノサイド)と三七人参(29種ジンセノサイド)よりもはるかに多いです。
このように高麗人参は他の人参に比べてサポニンの種類が多いために効能も高いことが科学的にわかります。
ジンセノサイドの成分
- ジンセノサイド-Ra1、-Ra2、-Ra3、
- マロニルジンセノサイド-Rb1、-Rb2、-Rc、-Rd、Rf、Rf2、Rg3、Rg5、Rg6、20(R)-G-Rg2、20(R)-G-Rh1、Rh2、Rh4、K-R1、K-R2、20(E)-G-F4、Rs1、Rs2、Rs3
- ポリアセチレンジンセノサイド-Ro
ポリアセチレンジンセノサイド-Roは米国人参にはなく、高麗人参のみ唯一含まれている成分です。
それぞれのジンセノサイドが異なる薬理作用をするということを考慮すれば高麗人参が他の人参よりも優れたといっても過言ではないようです。
高麗人参のジンセノサイドRb1(Protopanaxadiol)とジンセノサイドRg1(Protopanaxatriol)の割合は、米国人参または三七人参の割合とは異なっております。
米国参にはジンセノサイドRg1の相対量が非常に小さいのに対し、高麗人参ではほぼ同じ量です。
世界市場で高麗人参の高い評価は、外見や製造技術のせいだけではないと言う事です。
高麗人参の優れた部分は、ProtopanaxadiolとProtopanaxatriolの割合と関連があると言えます。
サポニンの副作用
人参サポニンは本当に多くの役割がありますが、食べ方などの違いで副作用が起きることはないかと不安もあると思います。
サポニンの副作用にはどんな事が起きるのか?
副作用が起きないような飲み方はあるのか?
みてみましょう。
一般的にサポニンを多量に摂取すると、血球を溶かす溶血作用(ようけつさよう)(※注2)などの毒性があります。
大豆と小豆は高麗人参と同じようにサポニンが含まれておりますが溶血毒性成分も含まれています。
この溶血毒性分は加熱時に破壊されて毒性を失うので、煮た後に摂取すると問題もありません。
唯一高麗人参のみが毒性がない有用なサポニンのみを持っており、高麗人参を生で摂取しても大丈夫です。
ジンセノサイド(人参サポニン)は溶血作用などの毒性がないので、多量・長時間摂取しても副作用が起きないのが特徴です。
ジンセノサイド(人参サポニン)が、副作用が起きないのでさまざまな効能があることは一般的な動植物サポニンの化学構造とは別のトリテルペノイド(Triterpenoid)のダンマラン(Dammarane)(※注1)構造を持つ配糖体であるためです。
したがって、人参サポニンを他の植物系サポニン成分と区別するために人参と配糖体の合成語である「ジンセノサイド」と命名しました。
高麗人参は化学的に作られた医学用の植物ではありません。
食品の高麗人参は、食べすぎるとお腹が痛くなる事や新鮮ではない物を食べるとお腹を壊すようになります。
高麗人参も大量に服用したり、長期間服用をする場合は漢方医やお医者さんと相談して処方される事をお勧めしたいと思います。
注2 溶血作用(ようけつさよう)
赤血球を溶解させる作用。各種生物が生産する毒素の中には、この機能を持つものがある。つまり、赤血球の膜を崩壊させて、内部のヘモグロビンが血漿中に放出されるので、酸素運搬体がなくなってしまうし、最悪の場合には死亡する。予防の方法は過剰摂取を禁止する。
高麗人参と一緒に食べて良いもの悪いもの!食べ合わせ
(良いもの)
高麗人参+蜂蜜: 低カロリーの高麗人参を蜂蜜と一緒に摂取するとカロリーを補うことができます。蜂蜜が消化吸収を助けてくれます。
高麗人参+ナツメ: ナツメは体を温めて、神経を安定させる作用があるため、高麗人参ともよく合います。
高麗人参+黄耆(オウギ): 肺の機能を良くし、汗を調整してくます。
高麗人参+長芋: 滋養強壮効能があり、気管支を丈夫にしてくれる。
高麗人参+熟地黄(ジュクジオウ): 血圧調節を助けるために体の津液(しんえき=体からしみ出でる体液)を補充してくれます。
高麗人参+麦門冬+五味子: 夏に飲むことをお勧めします。肺の機能を助け汗で落ちた栄養成分を補充してくれます。
高麗人参+鶏: 鶏の独特の臭いを中和させ、気力を補強してくれます。
(悪い食べもの)
高麗人参+牛乳: 人参をミキサーでミックスして牛乳に混ぜて飲むと苦味が減って飲みやすいです。しかし牛乳は動物性脂肪とタンパク質の含有量が高く消化吸収がうまくできないので消化機能が弱い人にはお勧めしません。
高麗人参はこんな方にお勧め
- 疲れがとれない方
- コレステロールの改善が必要な方
- 痴呆(ちほう)予防が気になる方
- 肥満を改善したい方
- 性機能を改善したい方
最後に
地球に生存する植物の中でサポニンを含有した植物は現在まで明らかにされた種類だけでも200種以上だと聞きました。
サポニンの含有量がありこれを数値で表現することは出来ますが、サポニンが人体に及ぼす影響をまだ明確に明らかにした事実はありません。
そのため世界の各国で色々な研究や実験が行われています。
漢方医学から見て現代の科学に基づき分析されたサポニンを含む薬剤の中には、補薬もあり、反対の機能を持つ場合もあります。
また、サポニンの含有量がごくわずかな黄耆(オウギ)も人参とほぼ同じ効果があり、一緒に補陽薬に使用されております。
したがって必ずサポニン含有量と効能が比例するわけではなく、効能の基準にはなりませんが、食品中の唯一に毒性を持たない高麗人参の特徴は優れていると思います。
注1 リテルペノイド(triterpenoid)系のダンマラン(dammarane)系サポニン
サポニンの化学構造は、糖部分sugar(glycoside)と非糖部分non-sugar(aglycoside)で構成されている配糖体である。非糖部分をサポゲニン(sapogenin)と呼ぶ。
サポニンは、非糖部分の骨格構造に応じて大きくトリテルペノイド(triterpenoid)系サポニン、ステロイド(steroid)系サポニンの2つに分類する。
人参サポニンはほとんどトリテルペノイド系のダンマラン(dammarane)系サポニンとして人参(panax)の中の植物にのみ存在する特有のサポニンである。人参は他のサポニン含有植物と差別される薬理効果を持つのはこのためである。
高麗人参茶の簡単な作り方と副作用
2014/10/19
高麗人参は、加工技術によって飲み方から保存方法までいろいろ細分化されています。
その中でも、今回は高麗人参茶について調べてみました。
高麗人参茶の定義
高麗人参を原料にして作られたお茶の事を言います。
高麗人参茶は、主に2種類があります。
- 高麗人参を時間をかけてじっくり煎じる方法で作ったお茶
- 高麗人参を加工して粉末化してお湯に溶かして飲むお茶 正官庄 紅参茶(粉末)
の2種類があります。
2番目の高麗人参茶は正官庄の粉末のお茶なのでお湯を沸かせば簡単に飲めます。
今回は、昔からある1番目の煎じて高麗人参茶を作る方法をお話させていただきます。
一般的に3年根以上の高麗人参を使用していますが、生蔘、乾蔘いずれも大丈夫です。
学名 Panax ginseng Meyer(= P。schinseng Ness)
分類 ウコギ科(Araliaceae)
利用部位 根
一日の容量 8~10g、2~3杯
健康効能情報 強壮、強精、神経、物忘れ(健忘症)、代謝、抗癌に効能があると言いますが、健康効能情報と言うのは医学的な効能ではないので効果とは言えません。
高麗人参茶の由来
高麗人参の文献は色々残っておりますが、
高麗人参をお茶として飲み始めた由来だけの文献は残っていません。
三国志によると、高句麗人は谷から湧き出る水(潤水)を飲みながら住んでいたと書かれております。
当時の韓国は天然水を飲むのに非常に適した環境だったので、
水を沸騰させて飲みませんでした。日本も同じですね。
しかし、人々は天然水だけを飲んだわけではありません。
特定の材料を添加して水の味を良くする方法も分かるようになったという事も書かれております。
西暦357年に作られた高句麗安岳3号墳の壁画には、
女主人公のために侍女が蓋が付いた豪華な器に飲み物を持っている場面があります。
蓋があることから、天然水ではなく、湯の種類の飲み物と考えられます。
その中でも、高麗人参湯(高麗人参茶)が器に入ってる可能性が高いと学者たちは話します。
特に高麗人参湯(高麗人参茶)だと思う理由は
高麗人参は、高句麗が起源であり、この頃に外国にも知られた可能性がある。
高麗人参は、朝鮮では明の使臣を催すことにも出した貴重な飲み物だったからです。
承政院日記には、西暦1633年病気になった霊中枢府李元に内医院で獨蔘湯に砂糖の粉を入れて頻繁に飲んで元気を補充したという記録もあります。
この文献に出てる高麗人参湯と獨蔘湯が高麗人参茶の由来だと思います。
その理由は、高麗人参湯や獨蔘湯は高麗人参を加工しないで水で何時間もじっくり煎じる方法で作ります。この方法が現在の高麗人参茶の作り方と同じだからです。
これらの理由は高麗人参の文献にも出ております。
中国の神農本草経上品に最初の記録によると、
(高麗人参は昔から貴重な補薬材の一つで使い続けている)と書かれております。
この処方は、中国の「本草綱目」と「医学入門」などの記録にも書かれております。
韓国の記録には、「東医宝鑑」、「方藥合編」、「濟衆新編」などに引用されています。
処方の内容を観ると高麗人参37.5g一つのみとなっています。
つまり、高麗人参だけを定量で煎じる方法を意味します。
高麗人参だけを煎じると言う意味の獨蔘湯(ドクサムタン)とも呼ばれます。
そして高麗人参を長期保存しようとするときは、細辛(さいしん)と一緒に保管するのがいいと記録が残っております。
高麗人参だけを薬用するときは、薬湯器(煎じ薬を入いれておくうつわ)に
高麗人参と生姜·ナツメを同じ分量を入れて煎じます。
飲む回数は1日に何回でも大丈夫ですが、1日に2~3杯をお勧めします。
たまには甘草、蘇葉、枳實を一緒に使用すると、より良い高麗人参の効果を得ることができる。と言う記録が残されており、現在も漢医学では普通に使う方法です。
この方法が高麗人茶の由来だと言っても過言ではないです。
高麗人参茶の漢医学的効能・効果
私たちが毎日飲んでるお茶にも色々な効果や効能はありますが、
それらの全てが医学的の効果や効能を意味する事ではありません。
それでは、高麗人参茶を飲むとどんな現状が起きるのか調べてみました。
味が甘くて少し苦味があり、元気を補強して、渇急症(喉の渇き)を鎮めて、全身の健康を回復する。
病気に対する抵抗力を強くして環境への適応力も高めてくれる。
消火器を元気にさせて、特に赤血球ヘモグロビンを増加させ、骨髄の代謝促進による白血球の増加にも効果がある。
肺の機能を強化して息切れや汗を流すときに良く排尿量を減らし、発熱性疾患脱水によるのどの渇きを改善する。
血糖降下作用も大きく、糖尿病性疲労と喉の渇きを解く効果がある。
脳の活動を支援し、精神を安定させ、精子量と精子の運動を高めるもしてインポテンツ(ED)にも効果がある。
このような効果や効能は漢医学的な効果や効能を表します。
漢医学的な効果や効能を決める基準は毒がない食品を使うので、
化学的な薬を使う医学的な効果と効能の判断基準とは異なります。
高麗人参茶の作り方法
正官庄 紅参茶のようにすでに加工されてる高麗人参茶なら簡単に飲めますが、韓国の一般家庭では高麗人参茶を高麗人参から作ります。
一般家庭で手軽に高麗人参茶を作る方法を皆さんにも紹介します。
煎じて高麗人参茶にする方法
材料:
高麗人参(水蔘、紅参、乾参などなどなんでも作れます)10g
水500mℓ
作り方:
高麗人参10gに水500mlの割合で煎じでください。
最初は強火で沸騰させて水が沸いてきたら弱火でじっくり煎じます。
煎じる時間は人参と水の量によって違いますが、
大体2~3時間を煎じます。
煎じる時、乾燥ナツメをいくつか入れるともっと良いです。
高麗人参茶の苦みに慣れてない方は砂糖や蜂蜜を少し加えて飲むとよいです。
日本の一般家庭で高麗人参茶を作る場合は、
高麗人参の生の物(水蔘)の購入がかなり厳しいと思います。
その時は正官庄の根参(プリサン)を利用してください。
韓国の場合は漢方薬局や家庭で高麗人参を煎じる専用家電製品がありますが、
まだ日本ではそれらを利用することが難しいので、
根参(プリサン)を普通のやかんやなべで煎じる事をお勧めします。
漬けて高麗人参茶にする方法
材料:
高麗人参3根
はちみつ250g
作り方:
高麗人参を流水できれいに洗った後適切な厚さにスライスします。(厚さ2~3mmをお勧めします)
ガラス瓶に高麗人参と蜂蜜がよく混ざるように入れてください。
蓋を閉じて密封して蜂蜜がすべて溶けるように、半日程度常温保存してください。
その後3日ほど冷蔵熟成させます。
(この保管方法は6カ月ほど保管が可能です。)
これをお湯に大さじ1~2杯を溶かしてお茶として飲んでください。
好みによって量を調節してください。
この時は別にはちみつは入れなくてもよいです。
高麗人参茶の副作用
高麗人参茶は赤ちゃんからお年寄りまでどなたが飲んでも副作用はございませんが、
熱が出る風邪をひいたと時と消化機能が落ちてる時は飲むことを避けてください。
高麗人参は熱を持ってる食品なので、熱風邪のときは人によっては熱がもっと上がる可能性があると漢医学では言います。
また、消化機能が落ちてる時というのは漢医学でよく言われる気の流れが良くないという意味です。
何を食べても消化できないときは無理して飲む必要はありませんという意味です。
高麗人参茶の副作用と言うほどではありませんが、
なんでも食べ過ぎ飲みすぎないようにすることが一番大事です。
最後に
本当に昔から高麗人参が使われてきました。
今は簡単に飲めるお茶からカプセルやタブレットまで沢山の製品がありますが、
ご家族の為にお母さんの心を込めて丹念に煎じる方法で作る高麗人参茶もお勧めしたいです。